11月のCFP試験に向けて、少しずつ予習を進めています。現時点ではまだ最新のCFP過去問題集が発売されていないため、AI(Gemini有料版)を家庭教師代わりに使いながら予習を進めています。
今回、AIに選んでもらったテーマは、「不動産のキャッシュフロー計算(OpEx・CapExとキャッシュフローの滝)」です。
前回の記事では、「建物の寿命を延ばし、価値を高めるための大規模修繕」について、まとめました。
前回記事:【CFP 独学】不動産の難関「DSCR」の計算方法と修繕提案の苦い思い出
実は私、以前、不動産の運営管理の仕事をしていたことがあります。当時の私といえば、日々のテナント対応や突然のトラブル処理、目の前の書類仕事をこなすだけで毎日がいっぱいいっぱい。
「この物件はどれだけの利益を生み出しているのか?」といった、経営的な視点やCFP試験で問われるような視点は、あまり持てていませんでした。
そんな私が今、CFPの勉強を通して「あのとき毎月必死に作っていた収支レポートの数字や、オーナーに提案していた工事って、こういう意味だったんだ……!」と、大昔の業務との結びつきが繋がる感覚を味わっています。
今回は、「不動産のキャッシュフロー(生のお金の流れ)」について、勉強したことをまとめました。
丸暗記からの脱却。お金の流れを可視化する「ウォーターフォール」
アルファベット表記の専門用語(略称)に混乱していた理由
CFPの不動産分野では、投資判断のために「この物件は将来的にどれくらいの利益を生み出すか?」を計算する問題が毎年のように出題されます。
私も過去問やネットの解説を調べてみたのですが、そこにはGPI、EGI、NOI、BTCF……といった謎のアルファベット略称がずらりと並んでいました。
最初は「NOIを出すときは、どれとどれを引き算するんだっけ?」と、その文字面だけで丸暗記しようとしていたのです。 文字だけを頭に詰め込もうとしても、少しひねった問題が出たらすぐに頭がごちゃごちゃになってしまうな……と途方に暮れていました。
「上から下へ流れる水」をイメージする
そんな私に、Geminiが「文字ではなく、構造で捉えましょう!」と教えてくれたのが、「ウォーターフォール(滝)」という視点でした。
一番上の大きなたらい(満室を想定した最大の家賃収入)からスタートして、
- 空室による損失
- 日々の運営経費(OpEx)
- 大きな工事費(CapEx)
- ローンの返済(ADS)
というように、お金が下に向かって順番にザザーッと差し引かれていくイメージです。
それぞれの段階で「器に残った水(お金)に名前がついているだけ」と構造で理解できたとき、「あ、無理に暗記しなくていいんだ」と、一気に霧が晴れるような感覚がありました。
実はこの「ウォーターフォール」、CFPのテキストや過去問には一切出てこない業界のプロ用語なのだそうです。実務の不動産ファイナンス(特にプロが使う収支シミュレーションなど)で日常的に使われている言葉なのだとか。
テキストの硬い専門用語も、この滝のイメージさえ持っていれば怖くないな、と自信がつきました。
当時は分かっていなかった…「OpEx」と「CapEx」を見分けるコツ
この滝を下っていく途中で、必ず差し引かれることになる「建物の2大支出」があります。 それが、OpEx(オーペックス)とCapEx(キャペックス)です。
① OpEx(Operating Expenses:運営経費)
- 日常のイメージ: 切れた電球の交換、エレベーターの定期点検代、共用部の水道光熱費、固定資産税、管理会社への委託手数料など
- 本質: 「ビルを普通に動かすために、毎年日常的に出ていく必要経費」
こちらは、建物の日々の手入れや維持管理にかかるコストです。
現在の状態をキープするために必要な、その場限りの費用であり、税務上もその年の経費として一括で処理されます。
② CapEx(Capital Expenditures:資本的支出)
- 日常のイメージ: エレベーターの丸ごと更新、外壁の全面リニューアル、最新の省エネ空調への総入れ替えなど
- 本質: 「建物の価値を高めたり、寿命を延ばしたりする特別な工事費」
こちらは、建物全体の価値を高めるための大規模な修繕等にあたります。
行うことでビルの価値がグンと上がり、耐用年数が延びます。
金額も大きいため、一括で経費にはできず、何年もかけて「減価償却(数年に分けて少しずつ経費にすること)」していくルールになっています。
Geminiに指摘されてハッとした、試験で100%狙われる「最大の罠」
試験問題では、支出のリストの中に「OpEx」と「CapEx」をわざとごちゃ混ぜにして並べてきます。 出題者の狙いは、不動産そのものの稼ぐ力を表すNOI(運営純収益)の計算で、受験生を混乱させることです。
ここで、CFP不動産で絶対に落とせない最重要公式を頭に叩き込みましょう。
【絶対に暗記すべき基本公式】
NOI(運営純収益) = 実効総収入(EGI) - OpEx(運営経費)
つまり、NOIを求めるときには「日常の経費(OpEx)」は引きますが、「大規模な工事費(CapEx)」は引いてはいけません。(※CapExは、NOIを求めた「あと」の段階で差し引くルールになっています)
さらに、Geminiに「ここは絶対に引っかかってはいけません」と釘を刺されたのが、以下の2つの扱いでした。
- 「建物の減価償却費」
- 「ローンの返済利息」
これらも支出リストにシレっと紛れ込んでいますが、絶対にOpExに含めて(=NOIから引いて)はいけません。
なぜ引いてはいけないのか、Geminiの解説がとても腑に落ちました。
💡 Geminiからの解説
減価償却費は「実際にお金が出ていかない帳簿上の数字」なので、生のお金の動きを追うキャッシュフロー計算では引きません。
また、ローンの利息は「オーナー個人の融資条件」です。手元資金でキャッシュ買いするオーナーでも、フルローンを組むオーナーでも、物件そのものが同じなら、稼ぐ力(NOI)は同じであるべきですよね。
だから、個人の事情であるローン(ADS)は、NOIの「あと」のステップで引くルールになっているのです。
「ケースバイケース」の正体。お金を引く順番は絶対に変わらない
公式を覚えたところで、過去問を見ていると「あれ?問題によって計算ステップが違って見える……」と混乱しそうになります。
でも、ウォーターフォール(滝)という名前の通り、水が下から上に逆流しないのと同じで、お金を引く順番のルールは絶対に変わりません。
イメージとしては、以下の3つの階層(レイヤー)を順番に降りていくだけです。
- 第1階層(物件そのものの実力ステージ) ➔ 家賃から日常経費を引いて、NOI(純利益)を出す。
- 第2階層(建物の維持・寿命ステージ) ➔ NOIから、将来のための大きな工事費(CapEx)を引く。
- 第3階層(オーナー個人の懐事情ステージ) ➔ 最後に、オーナーが組んだローンの返済(ADS)を引く。
試験問題が「ケースバイケース」に見える理由
それは、問題によって「途中のステップが0円(省略)になることがあるから」です。
過去問を解いていると、以下のようなバリエーションに出会います。
- ケースA: 「今回の問題には、資本的支出(CapEx)の記載がないな」 ➔ ステップのCapExを「0円」としてスルーして、そのままローンの計算へ進む。
- ケースB: 「今回は全額自己資金(ローンなし)で投資する設定だな」 ➔ 年間負債返済額(ADS)を「0円」として計算する。
このように、引き算の順番自体はガチッと固定されていて、問題文に「データがあれば引く、なければ0円として次のステップへ進む」というだけなのです!
【保存版】具体例で見る!キャッシュフロー9つのステップ
実際の試験問題では、以下のような形でバラバラに条件が提示されます。受験生を惑わせるダミーの数字も紛れ込んでいます。
【CFP試験風・問題文のイメージ】
ある賃貸マンションの運営データが以下の通りである場合、この物件の「運営純収益(NOI)」および「税引前キャッシュフロー(BTCF)」を求めなさい。
- 潜在総収入(GPI):1,000万円
- 空室および回収ロス:潜在総収入の5%
- 運営経費(OpEx):200万円
- 資本的支出(CapEx):100万円
- 年間負債返済額(ADS):300万円(うち、支払利息は120万円)
- 減価償却費:50万円
一見すると、「支払利息120万円や減価償却費50万円はどこで引き算すればいいの……?」とパニックになりそうですよね。
では、このバラバラに並んだ数字を、固定された「滝」に順番に流し込んでみましょう!
- ステップ1:潜在総収入(GPI) ➔ 1,000万円 満室だと仮定した場合の、最大の家賃収入です。まだ空室は考慮しません。
- ステップ2:- 空室・回収ロス(V&LC) ➔ ▲ 50万円 空室リスクや、家賃滞納による損失(1,000万円 × 5%)をここで引きます。
- ステップ3:= 実効総収入(EGI) ➔ 950万円 (計算式:1,000万円 - 50万円) 「実際に手に入りそうな」現実的な総収入です。ここから本格的な経費の差し引きがスタートします。
- ステップ4:- 運営経費(OpEx) ➔ ▲ 200万円 固定資産税や日々の管理費などを引きます。 (※⚠️ 問題文にある「減価償却費50万円」や「支払利息120万円」は引っかけの罠!キャッシュの計算なので、ここでは絶対に混ぜてはいけません!)
- ステップ5:= 運営純収益(NOI) ➔ 750万円 (先ほど暗記した公式:950万円 - 200万円) 【最重要】不動産そのものが持つ、純粋な稼ぐ力です。 試験の第一ゴール!
- ステップ6:- 資本的支出(CapEx) ➔ ▲ 100万円 建物全体の価値を高める、大規模な修繕費用です。データがあるのでここで登場します(もし記載がなければ0円でスルー)。
- ステップ7:= 純キャッシュフロー(NCF) ➔ 650万円 (計算式:750万円 - 100万円) 物件から生まれる、本当の最終的な手残り現金です(まだ融資条件に左右されない数字)。
- ステップ8:- 年間負債返済額(ADS) ➔ ▲ 300万円 ローンの「元金 + 利息」を合わせた返済額です。ここで初めてオーナー個人の融資事情を反映します。(※利息120万円はすでにこの300万円に含まれているので、二重で引かないように注意!)
- ステップ9:= 税引前キャッシュフロー(BTCF) ➔ 350万円 (計算式:650万円 - 300万円) すべての仕切りを通り抜け、最後にオーナーの手元に残る、税金を払う前のいわば「お給料」です。最終ゴール達成!
まとめ
受験戦略としては、これだけ覚えておけば大丈夫だそうです。
- 公式は 「NOI = EGI - OpEx」 をコアとして暗記する!
- その後の引き算は、 【物件(NOI)】➔【建物(CapEx)】➔【個人(ローン)】 の順に、データがあるものだけを削ぎ落としていく!
この構造さえ頭に入っていれば、問題文でどれだけ複雑な数字の出し方をされても、「あ、いま私は滝のどのステージを計算させられているんだな」と現在地がすぐに分かるようになります。
最初は拒絶反応が出たアルファベットの羅列ですが、仕組みを整理すると、合理的な流れが見えてきました。
▽前回の記事


