子供が二人、公立中高一貫校に通っています。塾には通わず、私が自宅で勉強をフォローして合格しました。
よって、公立中高一貫校には塾なしでも合格できます。
ただ、実際に取り組んでみて、塾なしで合格するのはかなり親のフォローが必要でした。塾に行かない分、私が家庭教師のように教えました。
実は、私は大学時代に家庭教師をしていたことがあります。
こう書くと「教えるのが上手いから合格できたのでは?」と思われるかもしれません。でも、はっきりいって教えるのは下手。子供と一緒に勉強して、問題によってはお互い教えあって合格を掴みました。(教えあうことで、子供の理解も深まったと実感しています。)
家庭教師をしていた当時、大学生だった私は「中学生に教えるなら、ラクでしょ」と思っていました。でも「自分が解ける」のと「相手に分かりやすく教える」のは全く別物なんですよね…。
時給が高いから選んだバイトでしたが「私は、なんて教えるのが下手なんだろう…」とへこみ、家庭教師に行く前に予習をするなど準備時間も多かったため、結局、時給換算すると安かったです(苦笑)
この経験から自分の教える技術の低さを痛感し、他の人のお子さんを教えることはやめよう…と思いました。
そして、実際に自分が家庭教師を経験する以前は「家庭教師に教わったら、すごく分かりやすくて、めちゃくちゃ頭良くなるかも!!」という思い込みがありました。
しかし、自分が家庭教師をして教えるのが下手だと痛感したことで「家庭教師は誰に教わるかによって当たり外れがあるかもしれないなぁ…」と気付きました。いや、私以外の家庭教師の方はもっと上手だと思うんですけどね、でも、中には私みたいなケースもあるでしょう。
そこで、家庭教師での苦い経験や、自分が勉強してきた中で「もっと、こうすれば効率的に勉強できたのにな」と思ったことを活かして、自分の子供には自分で教えてみることにしました。(子供たちも、塾などに行くのは嫌がっていたのもありますが)
塾や家庭教師にはお世話にはならず、自宅学習(通信教育と市販テキスト、過去問)で取り組んだ、我が家の中学受検。
「具体的に、どのように自宅学習を進めたのか」をまとめました。
そして、補足として塾に通っていたお友達のお母さんから教えてもらった体験談についても、少し触れました。
だって、やっぱり合格するまでは「大手の専門塾では、どんな指導をしているんだろう…」と、ずっと気になっていたのが本音なので。
【公立中高一貫校の受検】塾なしで合格した自宅学習の進め方
やったことリスト
我が家の場合は、塾なしで受検勉強をして合格しました。
具体的には、長男は小学5年生の3月から、次男は小学6年生の4月からZ会の公立中高一貫校対策講座を始めました。
ただ、Z会だけでは不十分。子供の理解度に合わせて私が市販ドリルを選んで勉強をフォローしました。
「勉強をフォロー」の具体的な内容は以下です。
- 月単位の学習計画表作り
- 日々の勉強のフォロー
- 苦手分野の洗い出し
- Z会の教材や過去問を親も解く
- 市販ドリルの選定
続いて、一つずつ詳しく解説していきます。
月単位の学習計画表作り
月単位で学習計画表を作って進度を管理しました。
最初は、ざっくりとしたものを作り、徐々に毎月ブラッシュアップしていきました。
計画表を作ったことで、やることが「見える化」できるし、どのくらい進んでいるのかが一目で分かります。子供のヤル気アップにつながりました。
ちなみに、順調に進んでいるときは子供のヤル気はアップしますが、遅れて溜まってくると、取り組む前からヤル気がダウンしてしまうことが多かったです…。
計画表を見て「こんなに溜まってるから、やるのが大変だなぁ。勉強したくないなぁ。」と感じてしまうようです。
この気持ち、よく分かりますよね。大人だって、やることが山積みだとやる気が起きなかったり、やる前からイライラしがちです。
もちろん、毎日予定通りに取り組めればベスト。
でも、学校の宿題や習い事、なんとなくやりたくない…など、様々な事情があって予定通りに取り組めないことも多いのが現実でした。
日々の授業のフォロー
そして、日々の勉強のフォロー。日々の勉強とは、小学校で習っている学習のことです。
公立中高一貫校の適性検査は小学校のテストとは形式が全く違います。でも、まずは基礎となる知識を身に着けないと、解けません。
子供が小学校で習っている範囲を、きちんと解けているのかのチェックを日々していました。
ちなみに、これは受検勉強を始めてから取り組んだのではなく、小学1年生のころからずっと続けていました。
子供が小さいころは、そこまでがっつりは取り組んでおらず、一日5分~20分くらい。ただ、全くやらない日もあったので、正直、適当でした。
小学校低学年の頃、先生から「低学年のお子さんの場合、集中力は長くて15分しか持ちません。授業は45分間ですが、15分×3で内容を分けて教えているんですよ。」と聞きました。
それを参考に家庭学習の時間も考えていました。
ゆるく取り組んでいた家庭学習ですが、「あ、この分野、つまづきそうだな…」と気づいた時には、じっくり復習に付き合ったり、新しい教材を購入したりして対応。
例えば、我が家の子供の場合、漢字学習をとても嫌がっていたので「漢字なりたちブック」という本を購入したことも。この本で、毎日の漢字学習(宿題で毎日出る)が飛躍的にスムーズになりました。
高学年になると、習う漢字はぐっと難しくなってつまづくお子さんも多いです。でも、漢字はコツコツやれば必ずできるもの。長男は地道に頑張って、高学年の50問テストで賞状をもらい、とても喜んでいました。
【詳細】漢字学習で悩んでいたころの記事
そんなわけで、受検を意識してからの家庭学習も、まずは「苦手を作らない」ことを意識。高学年になっても同様のスタイルで取り組みました。
日々の学校の勉強で苦手なところや、間違えた問題を一緒に復習したり、知識が定着するまで繰り返したり。
多分、塾に通っていたら、ある程度のスパンで先生方がプリントを配ったり、小テストをしたりと対応してくれるでしょう。繰り返し学習の公文式も同様。
少し進んで、また戻って復習して。そのやり方を、自宅でも真似ていました。
中学生や高校生なら「定着するまで、繰り返し復習する」方法を自分で出来るようになってきますが、小学生なので私がペースを作って取り組ませました。
苦手分野の洗い出し
得意を伸ばすのも大切ですが、まずは基礎的な問題(=みんなが解けるようなレベルの問題)で確実に点を取れるように、苦手分野をなくすようにしました。
うちの子供は、とにかく作文が大の苦手。
公立中高一貫校の適性検査には作文の問題が出ます。しかも、配点の比率が高いです。
上手に作文を書けるようになる必要がありますが、うちの子供たち(特に長男)は「下手だけど、書ける」というレベルではなく「何を書けばよいか悩んでしまい、白紙の状態」でした。
もうね、ほんと苦手で4年生の時も5年生の時も、担任の先生から「作文の練習をした方が良い」とアドバイスを受けるほど。
受検うんぬんとかではなく、普通の小学生に求められる作文のレベルと比較して、ダメダメだったのです。
文章の構成とか、接続詞の使い方とか、何を学んだのか書いてみようとか、そういったレベルではなく「とりあえず何か書けるようになろうね」が目標でした。
詳細は当時書いた別記事にまとめていますが、まずは日記を書くことから始めました。ダイソーで原稿用紙を買ってきて練習しました。
5年生の冬休みに取り組んだのですが、休みで時間があったのもあり、毎日練習しました。
▽「とにかく何か書く」練習を始めたときの話
自分の苦手と向き合うのは、大人にとっても辛いことです。だから、少しでも出来るようになったら、大げさに褒めるのがおすすめ。
まず、目指すのは「良い点数を目指す」のではなく「平均くらいはとれる」レベルで十分です。
難しい問題も、簡単な問題でそんなに大きく配点が異なるわけではありません。まずは、ほとんどの受験生が正答するであろう問題を、解けるようになればいいんです。
ステップアップを目指していくのは、そこから。
塾に通っていれば、苦手分野に対して先生が何度もフォローしてくれることでしょう。でも、塾なし家庭学習の場合は親がフォローする必要があります。
ただ、親の場合は塾の先生と違って子供との距離が近いためバトルになりがち。思うように勉強が進まないことも多く、私もかなり手を焼きました…。
我が家の場合は、
- 少しでも出来るようになったら、褒める
- ご褒美を用意する(いつもより豪華なおやつ等)
- ゲーム時間をおまけする
などの息抜きしつつ頑張りました。
大人の私だって頑張った後には「今日は頑張ったから、〇〇食べちゃおう」とかご褒美を用意しますもんね。
子供だって頑張った後のお楽しみは必要です!
Z会の教材や過去問を親も解く
我が家の場合は、Z会の公立中高一貫校講座を適性検査対策のメインとして勉強しました。足りない部分は、市販のテキストで補完。
▽Z会で受講していたコース
Z会の教材は必ず毎月全問解くようにしました。親がそう決めたのもありますが、子供も自ら添削テストを期限内に出すように頑張っていました。添削テストを出すと努力賞ポイントが貯まるのを楽しみにしていたんです。
ちなみに、遅れてもポイントは貯まるのですが、早く貯めたかったのと先生からのアドバイスが入った答案が届くのを楽しみにしていました。
小6の春ごろの教材は比較的簡単で子供はそんなに苦労することなく解いていましたが(もちろん、減点箇所はあるので完ぺきに解けたわけではない)、夏ごろからぐっと難易度が上がったように感じました。
適性検査型の問題は、計算問題や漢字の書き取りなどと違って解答を見て、すぐに〇付けが終わるような問題ではありません。
長い文章から情報を丁寧に読み取ったうえで、設問に答える必要があります。
そのため、子供が書いた回答が本当に合っているのか?不足している部分はないか?をチェックするには、親も自分で問題を解いてみる必要があるんです。
これがね、正直、めちゃくちゃ大変でした…。
難しいんですよ…。私にとっても。
自分も解いたことがないような問題だし、そもそも色々と忘れちゃっているので、かなりの時間を費やして自分も勉強しました。
私の場合、秋頃からは毎日2~3時間くらいはZ会の教材や過去問等を解いていたかな!?
すごく大変でしたが、自分も実際に適性検査型の問題を解いたことで、問題を解く上でのポイントや子供の不足している分、やりがちなミスなども把握できたのは良かったです。
市販ドリルの選定
Z会の通信教育を中心として適性検査対策をしましたが、実際に勉強を進めていく中で足りない部分は市販ドリルを使いました。
分類すると、
- 基礎的なドリル(学校の算数ドリルなどを活用)
- 論理的思考力を伸ばすドリル
- 公立中高一貫校向けドリル
- 作文ドリル
- 過去問(10年分)
詳細は別記事にまとめてますが、ここでも少し紹介したいと思います。
まずは、基礎的なドリルについて。
次男は計算が遅く、またケアレスミスも多かったため学校の宿題に使っていた算数ドリルを秋頃から毎日やりました。5年生と6年生の2年間分をこなしました。
ドリル代も積み重なるとそれなりの金額になるので、手元にあるもので使えそうなものがある場合は、再利用するのがおすすめ。
続いて、論理的思考力を伸ばすドリル。
公立中高一貫校の適性検査を解く上で、情報をきちんと読み取って筋道を立てて考える力を伸ばすのに必須です。
何冊か取り組みましたが、このドリルは頭の体操みたいで楽しいので、勉強ではなく、家族みんなで「あーでもない、こーでもない…」とワイワイ言いながら、趣味の範疇で取り組みました
難易度別に3種類あります。
公立中高一貫校向けドリルは、Z会の通信教育の他に、ケイティのシリーズを全種類解きました。
書店で大手塾のenaが監修しているものとじっくり比較したのですが、ケイティの方が分かりやすかったので、ケイティを選びました。
ちなみに銀本も有名なので実際に本屋さんでチェックしたのですが、銀本は問題は網羅しているものの、解説が無いんですよ…。つまり「解き方は自分で全部考えてね!」ってこと。これ、まじキツイ…。
「銀本は必須」みたいな情報もありますが、我が家の場合は、きちんと消化するのは無理だと感じたので、買いませんでした。
ケイティの問題集は細かく説明があり、間違えやすいポイントなどはイラストや対話形式で解説があるので、理解しやすい内容。子供一人でもサクサク解き進められて良かったです。
ちなみにケイティの本には公立中高一貫校の受検全般について解説された本があります。
かなり詳細に受検のあれこれが載っているので、何度も読み返しました。
塾に通っていたら、塾からどんどん情報を入手できるんだと思いますが、塾なしだったので情報収集する上で役立ちました。
この本、個人的には一押しです。
また、Z会は通信教育だけではなく市販ドリル「グレードアップ問題集」もあり、そちらが中高一貫校の対策をするうえで適当なレベルだったので、買い揃えました。
問題の質も良く、解説も丁寧。
適性検査型ではないのですが「普通よりちょっと難しい問題」が数多く揃っているため、適性検査型の問題を解くためのステップとして丁度良いレベルです。
作文対策は、Z会の公立中高一貫校講座の作文を受講しましたが、ものすごく作文が苦手な子なので、もっと簡単なドリルも用意しました。
まずは、体験談の棚卸をするために10分でできるドリルを準備。
また、直前期にはもっと作文の補強をしたくて「とまつ式」のドリルも購入。
「とまつ式」の方は「良い作文の例が多く載っている本」が欲しくて探したのですが、意外と無いんですよ…。
結局、数少ない作文本の中でも「とまつ式」が良さそうだったので購入。中身は充実しており確かに良い本なのですが、思った以上にレベルが高く難しかったです。作文がある程度書けるお子さん向けです。
我が家の場合、作文対策はZ会の公立中高一貫校対策講座(作文)が一番役に立ちました。これは、作文苦手な子でも着実にステップアップできる構成。難しすぎず、でもポイントは押さえてあります。
毎号に作文の良い例、悪い例が載っており比較して学べるようになっていたので「あ~、こういう文章書いちゃうよね…」というのが理解しやすかったです。
特に、悪い例がすごく参考になりました!!
平均以下のレベルの文章しか書けなかった子供たちでしたが、最終的には合格レベルの文章を書けるようになりました。作文力が付いたのは、掛け値なしにZ会のおかげだと思ってます。
続いて、過去問。
過去問は10年分を繰り返し取り組みました。過去問は秋以降に始めるものだと思っていて(ネットでそんな情報を見たから)、秋から始めたのですが、もっと早く始めれば良かったです…。
もちろん学校によっては難しすぎて、全然解けない…というケースもあるでしょう。
でも、我が家の子供が受けた学校の場合は問題によっては意外と解けました。また、過去問に取り組むことで子供の受検へのモチベーションが一気に上がりました!
塾に通って合格した友達の話(メリット・デメリット)
続いて、同じ学校に受かったお子さん(塾あり)のお母さんから聞いた話です。
塾はenaに通っていたそうです。
enaは公立中高一貫校の対策塾の大手。我が家は家庭学習で進めましたが、スムーズに進まない時期には何度も「enaに通った方がいいのかな…?」と思うこともありました。
一つの体験談として、参考になれば。
やっぱり塾に任せるとラク
やはり「塾に任せておけば何とかなる!」と思えたそうです。共働きで子供の勉強を見ている余裕はなく、塾にお任せだったそうです。
また、時々、子供に勉強を教えようとするとケンカになってばかりで全然話を聞いてもらえず。「自分で教えるのは、到底無理だった」というお話もされてました。
併願も塾が選んでくれる
公立中高一貫校の受検は高倍率なので、私立を併願するお子さんがほとんど。たくさんある私立の中から、どこを選べばいいか迷いますよね。
私立の中には適性検査型の試験を取り入れている学校もあります。そういった学校をピックアップしてくれたり、受かりそうなレベルの学校を提案してもらえて助かったようです。
ちなみに、そのお母さんは「私立に通わせる気は無かったけど、本命(公立中高一貫校)がダメだったときに、頑張った証になるものを与えてあげたかったから私立を併願した」とお話されていました。
「塾は勉強だけでなくて、情報を買うところ」とよく聞きます。自分で情報を探しに行かなくても、時期に応じて情報を提供してもらえるのは、非常に助かると思います。
勉強内容がオーバースペックで苦労した
続いて、デメリット。
これは集団塾ならではの悩みですが「勉強内容が受検校に対してオーバースペックのため、お子さんが疲弊していた」とのこと。
我が家の子供は塾には通っていませんでしたが、enaの適性検査模試(塾生以外でも受けられて、志望校判定も出してもらえる)を数回受けていました。
適性検査模試の結果は、面談や説明会に参加して返却してもらうシステム。何度かenaの先生からお話を聞いたことがあります。(そして、そこで軽く塾の勧誘を受けます)
その中で、志望校の選び方についての話題もありました。
やはり、自宅から通いやすいエリアの学校を選ぶお子さんが多いとか。校風や偏差値なども考慮しますが通いやすさは重要なため、自宅に一番近い公立中高一貫校を選ぶご家庭が多いそうです。
そのため、enaの授業内容は「ご近所の公立中高一貫校のレベルに合わせたもの」がメインだったようです。
そのお子さんは、近所のenaが照準を当てていた学校より偏差値が低い学校を目指してました。そのため、enaでの授業内容は難しすぎたそうです。
秋から日曜日には志望校別特訓があり通っていたそうですが、日々の授業の方が回数が多いので自分のレベルに合わない授業内容にだいぶ疲弊したみたい。
うーん、これは集団塾あるあるですよね…。
自分の志望校とはテイストの違う問題、難しすぎる問題。
「この勉強をしている間に、もっと自分の志望校に向けた勉強がしたい」という気持ちになったことでしょう。
その点、家庭学習だと自分の進度や理解度に合わせて時間配分できるのがメリット。ただ、子供一人でそれをこなすのは難しいので親のフォローは必須。そして、バトルもあり(苦笑)
家庭学習での対策も、塾での対策も、それぞれ大変な面があるなぁ…と感じました。